乗員快適性とエネルギー効率の高い車室内設計
乗員の快適性を提供することは、自動車、トラック・バス、産業機器、鉄道、航空機など、あらゆる移動手段に共通する課題で設計上の重要な項目です。特に自動車のHVAC空調性能は、J.D. パワー・アンド・アソシエイトのAPEAL調査でも重要な要素として指摘されています。車室内のクールダウンとヒートアップに要する時間は、重要な設計要件であるだけでなく、多くの場合規制の対象となっています。
自動車メーカは、グローバルに車両を販売するため、極低温・高温の地域、日射の影響が強い地域など様々な地域の過酷な条件を考慮した車室内の空調設計を含む快適性が必要とされます。
さらに、乗員の快適性も重要な設計指標ですが、車両の電動化によりHVAC空調に使用するエネルギが車両の航続距離に大きく影響するため、HVACシステムの設計にさらなる効率性を求める要因になっています。
技術課題
従来の車室内快適性評価は、試作車両による実験をメインに行われてきました。環境風洞を用いて適切な試験条件を設定し試験をするには、時間とコストが掛かります。また、車室内の表面温度と流体温度を測定するだけでは快適化どうかを評価するには、十分ではありません。
乗員の快適性は、温度、流速、衣服、体型、体重などの要因が車室内の要因や生理学的な要因を考慮する必要がありますが、試験での評価には限界がありました。
ソリューション
SIMULIAでは、長時間の車室内快適性に関する課題解決に最適なソリューションを提供致します。 PowerFLOWの格子ボルツマン法に基づく非定常流れシミュレーションにより、複雑な形状に対して実世界での非定常な現象を適切にシミュレートすることが可能です。 PowerTHERMは、熱の3形態を考慮した伝熱ソルバーです。PowerTHERMは、日射モデリングを行う機能、独自の生理学モデルから人体熱・快適性の評価を行える機能を備えています。
PowerFLOWとPowerTHERMを組み合わせることで、ウォームアップやクールダウンといった長時間の車室内の気温・人体の温熱感・快適性をシミュレートし、車室内全体の流れ場と温度場を可視化することが可能になります。 これにより、車室内快適性を考慮したHVAC空調性能の検討や適切な遮熱特性の設計検討といった評価が可能になり、車両開発の初期段階でHVAC性能や問題を解決するための設計提案を行うことができます。
図2:ガラス違いによるソークとクールダウンシミュレーションの事例
図3:人体熱・快適性モデルを含むウォームアップ シミュレーション

図4:人体の受熱の様子と温熱感、快適性の可視化例
投稿 【WHY SIMULIA Fluid simulations? 1 : 自動車 車室内快適性】 は ダッソー・システムズ株式会社 公式ブログ に最初に表示されました。